大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)385 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人井上守三の上告趣意について。

物価統制令違反の行為があつた後に、同令に基き価格等の統制額を指定した告示

が廃止されても、旧刑訴三六三条にいわゆる「犯罪後の法令に因り刑の廃止ありた

るとき」に該当せず、行為時法によつて処罰せられるものであること、当裁判所の

判例(昭和二三年(れ)第八〇〇号同二五年一〇月一一日大法廷判決)の示すとお

りである。況して原判決は統制額を指定した告示が最終約に廃止される以前に言渡

されたものであるから、原判決が被告人を物価統制令違反として処罰したりは当然

であつて、この点において何等の違法もない。

論旨は又、被告人は小羽いわしを大羽いわしと思い違えて買つたのであると主張

しているが、しかしそのような錯誤があつたという事実は原判決の認定しないとこ

ろであるのみならず、大羽いわしについても同じ告示に統制価格が定められており、

しかも大羽いわしの方が小羽いわしよりも統制額は低いのであるから、所論は被害

人のために却て不利益な主張となる。

論旨各点は結局において原判決の量刑不当を主張するに帰着し、採用に値しない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は統制額を指定した告示の廃止の効果に関する裁判官井上登の反対意見

(前記大法廷判決参照)を除く外裁判官一致の意見によるものである。

検察官 茂見義勝関与

昭和二六年一月二三旨

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

- 1 -

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官穂積重遠は差支えの為署名捺印することができない。

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!